化粧箱の不良品、品質トラブルとクレーム対応ガイド|トラブル事例と対策を徹底解説【2025年最新版】
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化粧箱も工業製品である以上、残念ながら100%不良品が出ないという保証はありません。
しかし、お客様に安心してご利用いただくために、不良品の発生を最大限に抑える努力と、万が一の際の迅速な対応体制が何よりも重要だと考えています。
この記事では、化粧箱の品質トラブルの具体的な事例と、それぞれの原因、そして当社でのクレーム対応についてご紹介します。
化粧箱で起こりうる品質トラブル事例
化粧箱の不良品は、製造工程の各段階で発生する可能性があります。主なトラブルは以下の通りです。
デザイン・データに関する不良
色校正ミス
指定した色と実際の印刷物の色が大きく異なる。
文字校正ミス
文字や文章に誤りがある。
先祖返り
校了後の修正データではなく、校了前の古いデータで印刷してしまうトラブル。
印刷・資材に関する不良
刷版・用紙のキズや汚れ
印刷に使用する刷版や、元々の用紙にキズや汚れがあり、それが印刷に現れてしまう。
色ムラ
印刷開始時と終了時で色の濃淡が変わってしまう。これは、印刷機の温度やインキの粘度変化などが原因で起こります。
ピンホール
インキが文字や絵柄にのらず、小さな白い穴が開いてしまう現象。紙粉やインキカスなどのゴミが主な原因です。
ブロッキング・コスレ傷
印刷されたインクが完全に乾燥する前に積み重ねることで、下の紙の裏面にインクが転写される「ブロッキング」や、製函・輸送時に化粧箱同士がこすれて発生する「コスレ傷」。
画像はコスレ傷
加工・製造に関する不良
打抜き不良
罫線不良: 箱の折り目に当たる「罫線」が不鮮明で、きれいに折り曲げられない。
罫割れ: 罫線が割れてしまい、紙の中身が見えてしまう。
ビビり: 刃物で切り抜く際に、紙の表面が毛羽立ってしまう。
画像はビビり
糊付け不良
剥がれ: 接着剤(ボンド)が不十分で、箱が剥がれてしまう。
はみ出し: 接着剤が多すぎて、箱の表面にはみ出してしまう。
貼り合わせズレ: 箱を組み立てる際に、接着面の位置がずれてしまう。
より高度な品質要求にお応えする取り組み
特に化粧品や医療器具のパッケージなど、高い品質が求められる場合は、通常では見過ごされがちな微細な不良にも細心の注意を払う必要があります。
以下のような品質要求については、個別の対応が可能です。
微細な汚れや色ムラ
「光の角度によって見えるわずかな色ムラ」や「0.2mm程度の小さなゴミ」など、通常では見つけにくい不良品。
当社の対応
全量検品(箱を1つずつ手作業でチェック)にて対応いたします。ただし、検品作業の負荷が非常に高くなるため、不良率によってはコスト面でご相談させていただく場合がございます。
古紙の浮き出し
コート白ボール紙などのリサイクルペーパーに、古紙の赤い破片が表面に浮き出て目立つもの。
当社の対応
古紙の破片はランダムに出現するため、「底面や折り込み部分など、目立たない箇所であれば許容」といった、お客様との明確な基準設定をご提案させていただきます。
高濃度・高発色を求める印刷
スミベタや銀ベタなど、より高い発色や濃度が求められる場合。
当社の対応
一度の印刷では十分な濃度が出せない場合、同じ箇所を二度刷りする「二度刷り」などの特殊な印刷方法で対応し、お客様の求める色を再現します。
用紙の収縮による絵柄のズレ
表面加工や多面付け印刷の場合、わずか0.2~0.5mm程度の用紙の収縮によって、絵柄の位置がずれてしまうことがあります。
当社の対応
すべての面で完璧な位置に打抜きを行うのが難しい場合、各面のズレが最も目立たない位置で調整し、全体のバランスが良くなるように工夫します。
品質管理の裏話:プロが語る不良品との闘い
ここでは、あまり知られていない品質管理の裏側を少しだけお話しします。
印刷物の大敵「紙粉」と「汚れ」
印刷不良の原因の多くは、非常に小さな紙粉や、機械の隙間に残った汚れにあります。これらの微細な異物は、日々の清掃でも完全に除去することは困難です。
しかし、印刷機を運転していると、こうした汚れが浮き出て、印刷に影響を与えてしまうことがあります。
品質管理は、見えない敵である汚れとの、終わりのない闘いとも言えるのです。
画像検査装置があれば不良品は出ない?
印刷機や製函機には、画像検査装置を取り付けることができます。
しかし、この装置があれば不良品がゼロになるわけではありません。検査装置は、あくまで製造中に発生した不良品を識別するためのものです。
また、検査基準を厳しくしすぎると、わずかな点やムラにも反応して機械が頻繁に停止し、製造効率が大幅に低下してしまいます。結果的にコストが跳ね上がり、当初の予定価格の何倍にもなってしまうこともあります。
検査装置は「安心料」です。お客様に「品質管理を徹底している」という信頼を提供するためのパフォーマンスの一環でもあります。しかし、不良品は出る時は出る、という現実を理解し、適切な品質基準を双方で共有することが、最終的なコストダウンにも繋がります。
認識のズレがトラブルを生む?お客様と印刷会社の「品質」のギャップ
「なぜ色が変わるの?」「糊付けがこんなにずれるのは、腕が悪いの?」
印刷業界の新人だった頃、私も同じ疑問を抱いていました。CMYKのインキを掛け合わせるだけの簡単な作業だと思っていたからです。しかし、経験を重ねるうちに、高い品質を維持することがいかに大変かを痛感しました。
1990年代後半から、印刷業界ではDTPやCTPの導入が進み、デジタル化が急速に発展しました。この変化は、製版会社の倒産や、熟練した職人たちが培ってきたノウハウの伝承がうまく行かないといった事態を引き起こしました。
お客様の中には、「デジタル化によって、誰でも簡単に高品質な印刷ができるようになった」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際には、従来のオフセット印刷機でしか対応できない案件も多く、過度なデジタル礼賛の風潮を私たちは深刻に受け止めています。
印刷機のデジタル化が進むほど、それを扱う技術者のスキルがより重要になっているのです。
私たちは、お客様と印刷会社が互いの「品質」に対する認識を深め、より良い関係を築くことで、最高の製品を生み出せると信じています。
品質トラブル発生時の株式会社コマガタのクレーム対応
万が一、納品された化粧箱に不良品が混入していた場合は、不良の状況に応じて迅速に対応させていただきます。
・ご報告…まずは不良品の状態(写真等)と数量をご連絡ください。
・原因調査…お預かりした情報をもとに、当社の各製造工程に遡り、不良の原因を特定します。
・ご提案と対応… 原因と不良の割合に応じて、以下のいずれかの対応をご提案させていただきます。
再製造 : 不良品の数量分を再製造し、良品をお届けします。
減 額 : 不良品の数量分を減額させていただきます。
なお、化粧箱の代金以上の保証は致しかねますので、予めご了承ください。
お客様に安心して化粧箱をご利用いただくため、各工程での徹底した品質管理に努めております。
よくあるご質問:品質トラブル・クレーム対応
Q. 不良品が出た場合、まず何をすればいいですか?
A. 不良品の数量と状況を写真に撮り、担当者にご連絡ください。
当日または翌営業日には、必ず確認のご連絡をいたします。
Q. 不良品かどうかの判定はどう行いますか?
A. 傷や汚れ、荷崩れなど、写真で明らかにわかるものは、まずお電話やメールで状況を確認させていただきます。
ぱっと見では分からない微細な不良については、現物をお送りいただくなどして、詳細な調査を行います。
Q. 不良品の返品は可能ですか?
A. 一部の不良品が混入している場合は、返品ではなく、減額または再製造で対応いたします。
全数に不良が発生した場合は、不良品を返品していただき、当社で再製造し、返品・引き取り費用は当社が負担します。
よくあるご質問:配送・納期について
Q. 大雪や大雨などの天候で納期が遅れそうな場合は?
A. 天候不順で納期遅延が発生しそうな場合は、ヤマト便などの運送会社を利用するなどして、可能な限り納期に間に合うように対応します。
早めの出荷にも対応いたしますので、お気軽にご相談ください。
Q. 配送の時間指定はできますか?
A. 配送の時間指定は原則お受けできません。
ヤマト便であれば対応可能ですが、別途料金が発生します。
Q. ビルなどの2階以上のフロアへの配送はできますか?
A. ヤマト便であれば対応可能です。
こちらも別途料金がかかりますので、ご了承ください。
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