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《化粧箱の色校正ガイド》種類とトラブル事例を徹底解説【2025年最新版】

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《化粧箱の色校正ガイド》種類とトラブル事例を徹底解説【2025年最新版】

化粧箱の色校正とはどんなことを行うのか?チラシやパンフレットと同じなのか?

この記事では化粧箱の色校正について、その種類からよくあるトラブル、そしてプロが実践する解決策まで当社の対応例を混えて解説します。

化粧箱の色校正とは?

色校正とは、デザインデータが最終的にどのような色で印刷されるかを確認する工程を言います。

化粧箱を制作する際、デザインの仕上がりを左右する重要な工程が「色校正」ですが、「思っていた色と違う」「印刷後に色が変わった」といったトラブルも少なくありません。

パソコンのモニター上では理想の色に見えても、実際に紙に印刷すると色が異なって見えることがあります。これは、光(RGB)で色を表現するモニターと、インキ(CMYK)で色を表現する印刷物の「仕組みの違い」により起こるものです。

そのため、印刷(製造)の前段階として色校正は必要な工程で、特に初めて印刷するデザインの場合などでは不可欠と言えます。


化粧箱の色校正で仕上がりを左右する「インキ」「インク」「トナー」の違い

印刷やプリントの色に関する場面で耳にする「インキ」「インク」「トナー」。
どんなもので、どんな違いがあるのかご存知でしょうか?

どれも着色材料ですが、「インキ」「インク」「トナー」それぞれに性質や印刷方式の違いがあり、色校正での色味の差に関係してきます。

インキとインク

英語では「ink」、オランダ語では「Inkt」表記され、どちらも顔料や染料を含む液状のものを指します。
しかし、印刷業においては「インキ」と「インク」は別物として使い分けられています。

インキ

オフセット印刷機などで使われる、粘度の高いペースト状のもの。
多くは油性で、用紙に完全に染み込むことなく皮膜を作ります。
呼び方はオランダ語の「Inkt」が由来とされています。

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インク

印刷業界では大判インクジェットプリンターで使われる、粘度の低い液体のもの。
用紙に染み込むため仕上がりはやや柔らか(ピンがあまい)な印象です。
呼び方は英語の「ink」が由来とされ、筆記用具や家庭用プリンターではこちらの呼び方が一般的です。

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トナー

レーザープリンター(いわゆるコピー機)などで使用される粉状のもの。
印刷業界でもレーザープリンタ系のオンデマンド印刷はトナーを使用しています。
用紙表面に皮膜を作るため、印刷内容に光沢を感じる場合があります。

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化粧箱の色校正の種類と特徴

色校正には、主に以下の2種類があります。
本番の印刷製造の前に、印刷内容やロットに応じて必ずどちらかを行います。

簡易校正/DDCP(direct digital color proofer)校正

デジタルデータをPostscript対応プリンタで直接出力する方法。
多くの場合、インクジェット方式やレーザー方式の出力機(プリンタ)を使用します。

製版過程や資材が省略される分、短時間・低コストで行えます。
ある程度の誤差については「承知している」「問題にしない」という場合にはおすすめです。

色見本(印刷物、プリンタ出力、カラーチップなど)がある場合は、調整のうえ色見本に近づけて出力を行います。
色見本がない場合は、入稿データそのままの出力結果でご確認いただきます。

詳しくはこちら:一般社団法人 日本印刷産業連合会/印刷用語集「DDCP」

使用機材/資材 メリット デメリット

・インクジェットプリンタ/専用紙
・レーザープリンタ/専用紙

◎手軽なため安価で行える(低コスト)
◎短期間で行える(入稿から1週間程度)
●本番と同じ用紙や機材が使用できない
●色校正と製造時で色の誤差が出やすい

【補足:製造時について】印刷会社のインクジェットプリンタやレーザープリンタは多くの場合、オフセット印刷の色校正として使用できるようキャリブレーション(色合わせ)を行なっています。しかし、色校正を見本に印刷・製造時を行ったとしても印刷方式や用紙の違い、印刷内容などによって、誤差が生じやすいのが実際のところです。

本機校正

実際に使用する印刷機(オフセット印刷機など)と、用紙を使って印刷します。
PPやプレスコートなどの表面処理、箔押しなどの特殊加工まで含めて行う場合もあります。

本番と同じ製版工程や印刷・加工を行うため時間とコストが必要ですが、正確な色合わせが必要な場合には製造時の誤差を最小限に抑えられる方法です。
特に、以下のような場合には本機校正がおすすめです。

●コーポレートカラーやキャラクターなど、色味に厳しい規定やこだわりがある。
●特色の刷り上がりに正確性を求める。
●特殊な用紙(クラフト系や色つきなど)で製造する場合。
●製造数が多い(大ロット)場合。

本機校正にはターゲットとする色見本が必要なため、色見本(印刷物、プリンタ出力、カラーチップなど)がない場合は、事前に簡易校正が必要です。

詳しくはこちら:一般社団法人 日本印刷産業連合会/印刷用語集「本機校正」

使用機材/資材 メリット デメリット

・製造時の印刷機/製造時の用紙

◎仕上がりを正確に確認できる ●本番と同条件で高コスト(数万円〜)
●時間がかかる(入稿から2週間程度)

【補足:製造時について】本機校正での印刷枚数は数十枚程度で、実際の製造時と枚数が大きく異なるために誤差が生じる場合があります。また、用紙のロット違いによってわずかに色味が変化する例もあります。これらについては、印刷オペレーターによる数値の計測や目視確認とインキ量の調整により最小限にとどめるよう努めています。


印刷トラブルを防ぐ!化粧箱の色校正の大切さがわかる3例

色校正の段階で起こりがちなトラブルと、その原因、解決策をご紹介します。

印刷会社から届いた簡易校正の色味がイメージと違う?!

原因1:プリンタや用紙の違い

同じデータからの出力でも、家庭用プリンターやオフィス用複合機などの出力と、印刷現場で使用される高性能プリンタの出力では仕上がりが異なります。仮に同じ機種だったとしても、プリンタの個体差やカラープロファイルの違いなどの条件で、出力結果は異なります。

また、青みがかった用紙はクリアでシャープな印象、黄みがかった用紙は温かみのある柔らかい印象など、用紙が違うだけでも仕上がりに影響する場合があります。用紙の色味は意外と重要なため、色校正のほかに用紙サンプルの取り寄せで仕上がりイメージを共有しておくのも大切です。

原因2:プリントして確認していなかった

近年ではデザインをほぼ100%PC上で制作できるためか、プリンタで出力することなく入稿される例も見られます。

先述のとおりモニター(RGB)と印刷物(CMYK)では色を表現する仕組みが異なるため、出力(簡易校正)ではイメージが違って見える場合があります。モニター(RGB)上では表現できる色合いが、印刷物(CMYK)では難しいという場合もあるためデザイン制作時にも注意が必要です。

解決策

デザインデータを入稿する際には色見本(印刷物や出力紙)も用意し、仕上がりのイメージを伝えるのがベスト。データ内容と色見本に違いがある場合は、印刷会社で調整して色校正を出してもらえるようお願いするとよいでしょう。(費用がかかる場合があります)

プリンタをお持ちでないなど色見本が用意できない場合は、まずは簡易校正を依頼してイメージに近づけるのも一つの手段です。

また、あらかじめモニターの設定やデザインソフトのカラー設定が適切であるかを確認するのも大切です。

簡易校正と本番の印刷で色に誤差が出るのはなぜ?

原因:簡易校正と製品では印刷方法が異なるため

簡易校正は、インクジェット方式やレーザー方式のプリンタを使用するため、オフセット印刷の刷り上がりと比べた際に誤差を感じる場合があります。

インクジェット方式の簡易校正では専用紙を使用し、印刷のCMYK以上の色数(多いものは10色以上)で再現するため、本番の用紙の質によっては発色が下がったと感じる傾向にあります。また、色数は印刷と同じく4色(CMYK)のレーザー方式でも、用紙の違いなどから完全に同じ色味になるとは言い切れません。

化粧箱の材質で一般的な真っ白に見えるコートボールなどでも、古紙の含有率やメーカーごとの白さ(青み、黄み)の違いによって刷り上がりの印象は変わります。また、ラフ系の用紙などでは、簡易校正に比べて色が暗く見える、特定の色味が強くなる・弱くなるなどの違いが出やすいようです。

解決策

印刷製版の際には上記を考慮した調整を行いますが、色味の違いを完全に避けることはできません。

『全体的にきれいに仕上がれば多少の違いはOK』『赤っぽくなるのだけは避けてほしい』など、全体的な印象重視の場合は簡易校正でも十分と言えます。

『色味に厳密な規定がある』など印刷での再現性を重要視される場合は、本機校正を行うのがベストです。

表面処理(PP、プレスコートなど)の後に色が変わってしまった

原因1:表面処理の工程での「ブリード」により網点がにじむ(溶け出す)ため

化粧箱の印刷では、傷や摩擦を防ぐために表面加工を施しますが、中でも「クリアPP」や「プレスコート」に代表される《圧着を行う加工》の際に色味の変化が起きやすいことを確認しています。表面処理を行うと加工時の圧着や使用される溶剤により網点がにじんだりインキが溶け出す「ブリード」と呼ばれる現象が起き、濃度や色味に変化が出てしまうようです。

オフセット印刷でも、印刷時の圧により網点がつぶれて、実際の網点サイズよりも大きくなる「ドットゲイン」と呼ばれる現象があります。網点の大きさで階調を表現するオフセット印刷では『大きくなる=濃くなる』という訳です。オフセット印刷では、中間調(網点50%付近)ほど変化が出やすいとされ、刷版出力の際にドットゲインを考慮した網点サイズが計算されています。

網点面積の違いによる色味の変化イメージ 表面処理による変化の例 オフセット印刷と表面処理によるブリード現象
※上図の倍率はスキャン時の倍率をもとにしています。ご覧になる環境により倍率やサイズは異なります。

「ブリード現象」の解説はこちら:DICグラフィックス株式会社/オフセット印刷トラブルシューティング

「ドットゲイン」の解説はこちら:一般社団法人 日本印刷産業連合会/印刷用語集「ドットゲイン」

原因2:表面の質感が変化=光の反射が変わるため

人間の目は、鏡のような光の反射「正反射」と色の認識に必要な「拡散光」のバランスで色を見ています。印刷物の質感に変化(光沢・ツヤ消し)を与える表面処理を施せば、正反射と拡散光のバランスが変わり、色味に変化を感じるという訳です。

光沢あり 正反射が強い 光を拡散しにくく色はハッキリ(場合によっては濃く)見える。
ツヤ消し 拡散光が強い 光の正反射が抑えられ、色は落ち着いて(場合によってはくすんで)見える。

「正反射光と拡散光」の解説はこちら:コニカミノルタジャパン株式会社/「色と光沢(SCE方式とSCI方式)

解決策

ブランドカラー・コーポレートカラーなどで厳しい規定がある場合、可能であれば特色(100%)を使用することで色味の変化を防げるでしょう。

網点での表現が含まれるデザインの場合は、表面処理も含めた本機校正を行い、製造時のターゲットとなる色見本を作るのがベスト。本機校正を複数回行ったり、調整違いのチャートを印刷した例もあります。

表面処理を含めた本機校正には時間を要しますが、納得のいく仕上がりのためには確実な方法です。

《当社の事例》
Y100+M30%(少し濃いめの黄色)がブリード現象により、Y100+M40〜45%(オレンジ)程の見た目に変化。デザイン上重要な部分であったため、M版の%違いで色見本を印刷し、お客様に選んでいただきました。

表面処理(PP)後に起きた変化と解決策の例

表面処理後の変化 考えられる原因 解決策
面積の広いY5%の平網が濃くなった ブリード現象と平網の面積も影響していると考えられる。(同じ色でも面積が広いとより濃く見えやすい) 平網の部分を特色に変更(可能であれば)
Y100+M35%(濃い黄色)がオレンジっぽくなった 100%のY版に影響はなく、網点のM版のみブリード現象の影響が出たと考えられる。 本機校正(複数回)+M版を調整して製版
C85+M50%(濃い青)が紫っぽくなった 比較的濃いC版よりも、中間調のM版の方がより強くブリード現象の影響が出たと考えられる。 本機校正(複数回)+C版・M版を調整して製版

色校正の許容範囲:プロが伝える色の現実

厳密に言えば、簡易校正、本機校正いずれの場合も、残念ながら本番の印刷と完全に色が一致することはありません。

本機校正を行ったとしても、インキや用紙など資材の生産ロット、印刷機の状態や環境温度など、その時々のわずかな違いから微妙な色の誤差が発生します。印刷機にはインキ供給を自動制御する機能もありますが、印刷物という「アナログ」に落とし込まれるため、全く同じ色を再現し続けるのは不可能と言えます。

濃度計での計測だけでなく、オペレーターの目による確認も行い調整しながら印刷しています。しかし、濃度計の数値が許容範囲でも人の目には違って見えることもあるため、刷り上がりのトラブルを防ぐには、事前に「変化をゆずれない部分」「色味の誤差の許容範囲」などを確認して、お客様と印刷会社の間で認識をすり合わせることが重要です。


化粧箱の材質別:簡易校正ではわからない印刷時の変化

化粧箱で使用されることの多い材質に起きやすい印刷時の色の変化をまとめました。

下図の「コート白ボール」「特板カードB」「高級白板紙」は、一般的には「ボール紙」と呼ばれるような材質ですが、古紙含有率の違いなどが印刷の仕上がりに影響します。簡易校正では印刷時の色の変化まで確認できないため、特殊な材質によっては本機校正が確実と言えます。

材 質 特 徴 印刷方式 注意点
コート白ボール 平滑性:普通/白色度:普通
ややくすみを感じる白さで裏面はグレー
オフセット印刷 色が沈みがちで、特に全面ベタの場合に目立ちやすい。
面コートカードB 平滑性:やや高/白色度:やや高
表裏とも白いがコート面は表のみ
オフセット印刷 コート白ボール紙に比べて明るく仕上がる。
高級白板紙 平滑性:高/白色度:高
古紙を含まないためクリアな白さ
オフセット印刷 発色がよくイメージ通りの色が出しやすい。
クラフト紙 平滑性:低
ダンボールの茶色
オフセット印刷 材質の影響を強く受け、色味が変化するが味とも言える。
パール紙 平滑性:高
真珠のような光沢で色味は用紙による
オフセット印刷 使用色や材質の色味によって影響の出方が異なる。
ダンボール
(WF/AF/BF/EF)
平滑性:低
茶色や白(くすみあり)、カラーもある
フレキソ印刷 材質の影響を強く受ける。フレキソ印刷は使用できる色が限定される。
ダンボール(GF) 平滑性:低
茶色や白(くすみあり)、カラーもある
オフセット印刷 材質の影響を強く受けるが、下地印刷(白刷り)などの工夫も可能。

「平滑性:高/白色度:高」は、パンフレットなどで使用する紙(コート紙)と同程度。平滑性が低い材質は、色が沈む傾向です。


化粧箱の色校正まとめ:賢い活用法

◎新規のデザインを印刷する際は、必ず色校正を行いましょう。
化粧箱の色校正では、コストを抑えたい場合は簡易校正、色合わせが重要な場合は本機校正を選びましょう。

◎PP貼り、プレスコートなどの表面処理をする場合は、印刷仕様を検討し本機校正がベスト。
可能な場合は特色の使用も検討。網点での再現の場合は、調整違いの本機校正などもおすすめ。

◎用紙など材質の違いでも色味が変化することを理解し、事前に確認しましょう。
色校正に加え、用紙のサンプルも確認が必要です。材質由来の色味の変化を避けたい場合は、白色度の高い材質を選ぶのも方法です。

色校正の種類、印刷仕様や材質を印刷会社と相談し、適切に活用することが美しい化粧箱の製造につながります。

 

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