制作と入稿

化粧箱やパッケージ印刷の塗り足し 簡単な付け方を解説

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化粧箱やパッケージ印刷の塗り足し カンタンな付け方を解説コラム タイトル画像

塗り足しとは

印刷物のデザインデータに必須とされる「塗り足し(ぬりたし)」は、印刷するデザインを仕上がりサイズよりも外側にはみ出させるもので、製造工程上必須とされています。

印刷物の製造工程は、下記のようにデザインを仕上がりサイズよりも大きな紙に面付け・印刷し、その後余分なところを切り落として仕上がりサイズに整えます(断ち落とし、抜き加工)。その際に多少のズレが生じる場合があり、塗り足しを付けていないと紙の白地が出てしまい、見栄えが悪くなります。

このコラムは、化粧箱やパッケージ印刷の塗り足しが必要な理由を製造工程と絡めて解説。複雑な展開図のどこに塗り足しを付けるべきか、その簡単な付け方をGIFアニメを使った図解で紹介します。※付け方は、標準的なデザインソフトAdobe Illustratorの機能で紹介しています。

チラシや名刺などの印刷物の塗り足しの幅

チラシや名刺、ポスターなどの単純な四角形の印刷物は、塗り足しの幅は3mmが一般的。

名刺などの製造工程と塗り足しの幅について図解

一番左の名刺、緑の点滅部分が「塗り足し」です。上端水色の帯とキャラクターを仕上がりラインからはみ出させています。

 

化粧箱やパッケージ印刷の塗り足しの幅

化粧箱やパッケージ印刷では、名刺やチラシなどと比べてより複雑な箱の展開図の抜型で型抜きするため(抜き加工/打ち抜きなど)、必要な塗り足し幅は5mmとなります。(※幅は印刷会社によって異なります)

化粧箱印刷、パッケージ印刷の製造工程と塗り足しの幅について 図解

図解の例はパッケージで一番スタンダードな形状のキャラメル箱です。展開図内の点滅部分(オレンジのふち)が塗り足しです。
キャラメル箱以外の形状でも、塗り足しは必要です。
 

化粧箱やパッケージのデザインに塗り足しが付いていないとどうなる? 

塗り足しが付いていない失敗パターン

化粧箱やパッケージデザインの版下データに、塗り足しが付いていない場合の失敗例です。印刷・表面処理時に起きる紙の伸縮や、抜型での型抜き時に生じる抜きズレにより、塗り足しが付いていないと紙の白地が見えてしまうといった、残念な仕上がりに…。

図解ではベタのデザインですが、画像を使ったデザインでも同様に塗り足しが必要です。塗り足しが無い場合は当社にてデータ修正いたしますが、画像を使用するパッケージデザインでは、あらかじめ塗り足し幅を確保できるサイズの画像を使用していただくと安心です。

 

パッケージ印刷、化粧箱印刷で塗り足しが無いとどうなるか 失敗例の図解

※解説のため実際よりも大きくズレ幅を表現しています。

 

化粧箱やパッケージ印刷のカンタンな塗り足しの付け方を解説

化粧箱やパッケージのデザインでは、直線と曲線からなる複雑な展開図のどの部分に塗り足しを付けるべきか、迷う方もいらっしゃるかもしれませんね。そこで、長年お客様のデータを取り扱ってきた専門スタッフおすすめの「カンタンな塗り足しの付け方」をご紹介します。

ベタ印刷の塗り足し

  1. 箱の展開寸法と同じ大きさの四角形(ベースカラー)を作ります。
  2. 四角形にアピアランス/パスのオフセットを5mmに設定。
  3. のりしろの塗り足し幅も5mm必要です。カンタンなやり方として、2の手順でのりしろにはみ出たベースカラーに、白い四角形を上に重ねて隠している状態にします。白い四角形の位置は、のりしろの隣にある「第1罫線」から、のりしろ側に5mm移動して重ねます。※この時、上に重ねる白い四角形は「塗りにオーバープリント」にしないようご注意ください。

パッケージデザインの簡単な塗り足しの付け方 図解 全面ベタのデザイン場合

キャラメル箱/全面ベタのデザイン カンタンでOK!塗り足しの付け方を解説

 

 

フラップとフタの差し込みが白のデザインの塗り足し

続いて、フラップとフタの差し込みが白のデザインでのやり方です。上記と同様、ベースカラーの上に白い四角形を重ね、不要な部分を隠します。

  1. ベースカラーの四角形を作ります。
  2. 四角形にアピアランス/パスのオフセットで5mmを設定し、塗り足しを付けます。
  3. フラップやフタの差し込み、のりしろに白の四角形を重ね、それぞれの罫線・カット線から外側に5mm移動させます。※この時、上に重ねる白い四角形は「塗りにオーバープリント」にしないようご注意ください。

 

パッケージデザインの簡単な塗り足しの付け方 図解 フラップとフタの差し込みを白にするデザインの場合

キャラメル箱/フラップとフタの差し込みが白のデザイン カンタンでOK!塗り足しの付け方を解説

 

箱の正面と側面で色を変える場合の塗り足し

さらに続いて、箱の正面と側面で色を変えるデザインの場合です。

塗り足しをそれぞれ外側に5mm付けると、図解の丸印の箇所に色と色がぶつかる(重なる)部分が出てきます。ここは図形に手を加えて、重なりを斜め45度の状態にします(「逃す」とも言います)。

  1. 各面の大きさでの四角形に色をつけて配置する。
  2. それぞれの四角形で、外側に5mmずつ塗り足しを付けます。(オレンジの線で表示した場所)
  3. 塗り足しの色がぶつかる部分は、斜めにします。ペンツールを使い、箱の角にあたる場所Aにアンカーポイントを追加。ダイレクト選択ツールに切り替え、アンカーポイントBを選択し外側へ5mm移動します。

この斜めにする(逃す)やり方は、画像をデザインに配置したとき余分な場所を隠す「クリッピングマスク」にも流用できます。

パッケージデザインの簡単な塗り足しの付け方 図解 面ごと色を変えるデザインの場合

キャラメル箱/箱の正面・側面で色を変えるデザインの場合 カンタンでOK!塗り足しの付け方を解説

 

化粧箱やパッケージ印刷の入稿データ作成について関連記事

化粧箱やパッケージ印刷の塗り足しが必要な理由、デザイン展開図のどこに塗り足しを付けるべきかの図解を紹介してきました。

本記事ではキャラメル箱の塗り足しを例に取り上げましたが、そのほかの形状(地獄底、ワンタッチ底、N式箱、ギフト箱)の塗り足しを解説したコラムも合わせてご覧ください。

《仕上がりに差がつく!》化粧箱デザインの『塗足し』と『余白』

また、デザインデータ作成時には塗り足しの他にも注意点がありますので、下記「入稿データ作成の注意点」もご確認ください。データご入稿前に一度、デザインをプリントアウトしてカッターなどで展開図を切り出し、箱を組み立ててみることもお勧めします。

ご入稿データはオーダーメイドの化粧箱・パッケージ製造の専門スタッフがすべてチェックし、塗り足しの追加はもちろん、綺麗な仕上がりに必要なデータ調整を行なっております。データ作成のご不明点はお気軽にお問い合わせください。

 

化粧箱の入稿データ作成ポイントまとめ

化粧箱の入稿データ作成ポイントまとめ

パッケージ製造の第一歩!入稿データの作り方とポイントとは?

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このほか、抜型の解説コラムもご覧ください。印刷した後の製造工程「抜き」はなかなか想像しづらいかもしれません。抜きの機械や抜型の画像も豊富に紹介しています。

トムソン型とは?化粧箱の「抜き」の種類や特徴などの解説

◎関連項目

化粧箱制作のヒント 両面印刷の箱とデザインデータの作り方

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