制作と入稿

《オフセット印刷の未来》環境にやさしい無処理版へ完全移行!

制作と入稿

《オフセット印刷の未来》環境にやさしい無処理版は完全移行!

当社では10年以上前から、刷版の現像処理で排出される廃液の濃縮・濾過装置(廃液処理装置)を導入してきました。環境負荷の低減を考え、オフセット印刷において発生する廃液の減少と水の再利用するためです。

現在ではSDGsとしての取り組みとも取れますが、印刷会社の課題とも言える廃液をゼロにすることはできずにいました。

しかし、この度、社内で使用する刷版を『無処理版』へ完全移行することにより、環境への配慮が一段と進み、廃液ゼロを実現することができました。

この記事では、SDGsの観点からも注目され、印刷会社で導入が進む『無処理版』とはどんなものかをご紹介します。

オフセット印刷における『無処理版』

『無処理版』の「処理」とは何? 「有処理版」もある?

オフセット印刷で使用される刷版は、アルミ製の薄い板で印刷内容が焼き付けられています。この焼き付けられた網点を印刷可能な形にするためには、露光後に現像液による「現像処理」工程が必要です。

しかし、当社が導入した『無処理版』は現像液を使った現像処理を必要としません。従来の現像処理にあたる工程は、印刷機上で行われるようになっています。

上記のとおり、『無処理版』の「処理」とは現像処理を指すため、現在では従来の刷版は「有処理版」と呼ばれるようになりました。また、『無処理版』の呼び方については「現像レス版」「プロセスフリープレート」「ノンプロセスプレート」「プロセスレスプレート」など様々あるようです。

無処理版と有処理版の工程の違い

印刷に使用する刷版を製作する工程を「製版」と呼びます。

前述のとおり『無処理版』と「有処理版」は、この製版工程に大きな違いがあります。ここではその違いを具体的にご紹介します。

有処理版の製版工程

有処理版の製版工程

有処理版は、レーザー露光後に自動現像機を使用して現像処理が行われていました。この過程で使用される現像液や水、ガム液(コート剤)は一定の濃度に調整され、絶えず薬剤と水を消費していました。

そして、使用済みの現像液などは特別管理産業廃棄物※として専門業者による回収と処分をおこなってきました。
※使用済みの廃液は「廃アルカリ」に分類され産業廃棄物の中でも「特別管理産業廃棄物」にあたります。

新潟市HP
◎産業廃棄物の種類
◎特別管理産業廃棄物の種類

無処理版の製版工程

無処理版の製版工程

「有処理版」とは対照的に、『無処理版』は現像処理が不要で、露光後の刷版がそのまま印刷に使用できます。

正確には、レーザー露光のみの状態でオフセット印刷機にセットされ、印刷で使用する水(湿し水)とインキが現像処理を担ってくれます。刷版の不要な露光皮膜が水でふやけた後、インキのタック(粘り気)で剥がされることで刷版として完成します。印刷現場で言うところの「ヤレ通し」の間に現像が完了するという訳です。

この方式により、環境への影響を大幅に減少させ、設備の維持や薬剤購入にかかるコストも削減できます。現像処理を必要とせず、廃液の処理・処分もいらず、現像液や水の使用も不要です。また、自動現像機や廃液処理装置に必要な電力が不要な点も、環境への負荷を軽減していると言えます。

無処理版にはメリットしかない?

現像処理を必要としない『無処理版』のメリット

環境にやさしい

◎薬剤不要で産業廃棄物となる廃液を排出しない。
◎自動現像機、現像液削減装置を使用しないため電力が不要。
◎使用する現像液など薬剤や水のコストを削減。
◎設備の維持にかかる労力が減少。

『無処理版』にデメリットはない?

無処理版のデメリット

いいことづくめのようですが、当社が導入を検討し始めた数年前には以下の点がデメリットとして懸念されていました。

◎有処理版に比べて耐刷性・耐傷性が低い
◎露光後のアミ点の視認性が低い(検版しづらい)

しかし、現在では各メーカーの開発努力により有処理版と同等の耐刷性・耐傷性の製品が実用化されています。アミ点の視認性についても、当社で初めてテストした頃に比べて格段に向上しているという実感があります。

『無処理版』完全移行までの道のり

『無処理版』使用の検討開始から約4年

当社で初めて無処理版テストを実施したのは2019年12月です。この頃は、まだ版自体の耐刷性・耐傷性が有処理版に劣ると言われていました。露光後のアミ点もかなり薄く、視認性の点でも目視による検版は難しいというのが正直なところ。その後も検討は続けられましたが、本格的な導入には至りませんでした。

転機はコロナ禍も落ち着いてきた2023年に入ってから。同年3月半ばに最新の無処理版を使用したテストを実施しました。メーカー資料によると、約3年の間に版の性能は有処理版と同等の耐刷性・耐傷性に向上していました。テストでもアミ点の視認性が向上していることを確認。そこから一気に無処理版の導入に向けて動き出しました。

初のテストから3年4ヶ月後の2023年4月には導入をスタート。移行可能な案件から無処理版の使用へと切り替えを進め、半年後の10月には90%以上の案件を無処理版で印刷するようになりました。そして12月には、お客様社内での品質管理(4M変更)に関する手続きや外注など各方面への確認も完了。

2024年1月、無処理版への完全移行を迎えました。

参考サイト
◎KODAK:SONORA XTRA プロセスフリープレート
◎FG PLATZ:新 今さら聞けない印刷の基礎知識

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