コラム

ダンボール箱のコスト削減ポイントと材質・形状・ロットの注意点

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ダンボール箱のコストを削減するポイントを解説

商品の輸送に欠かせないダンボール箱。ちょっとした工夫でコストを下げることができます。
価格交渉の時は、以下の点を確認してみてください。

1.材質変更によるコスト削減
2.ロットを増やして1枚当たりの単価を下げる
3.形状変更することでコストを下げる
4.複数の商品に対応できる兼用箱を作る
5.印刷面積を小さくして製版コストを下げる
6.配送方法を見直してトラックの積載効率を高める

 

◎合わせて読みたい

ライナ・中芯・段の種類とは?ダンボールの材質とサイズ選び

材質変更によるコスト削減

表ライナ・裏ライナの材質のグレードを下げる

ダンボールは、使用する材質によりコストが変わります。

ダンボールの表面の紙は『ライナ』と呼ばれ、箱の外側を『表ライナ』、内側を『裏ライナ』と区別しています。
代表的なライナには、「C5」「K5」「白C5」「白K6」といった種類がありますが、「C5よりもK5」「C5よりも白C5」というように、価格が高くなるなど違いがあります。

コストを削減する場合、これらの材質の見直しが行われます。
※ライナについて詳しくは後述の「うんちく①」を参照。

コスト削減の分かりやすい例として、「白いダンボールを茶色のダンボールにする」「ライナの重量を下げる」などが挙げられます。
箱の大きさにより削減率は変わりますが、材料費で1割程度のコスト削減が可能な場合もあります

【例】「K5/K5」を「C5/C5」へ変更 → 50円の箱が46円程度になります。※ロットや配送条件などにより変動します。

材質の表記について
「K5/K5」とは、「表ライナK5/中芯120g/裏ライナK5」という意味です。
標準の「中芯120g」は省略されることが多く、「強化180g」などの材質を使う場合「K5/強化180g/K5」の様に表記されます。


うんちく①:ライナとは?

ライナは、英語で「liner」と書きます。「内張り材」「洋服の裏地」「線を引く道具」という意味ですが、「ダンボールの表裏に用いられる板紙」という意味でも使用されます。

ライナは、1㎡あたりの重量が重くなるほど強度と価格が上がります。
K5以上は、バージンパルプの配合率も高まるため、紙の表面もやや滑らかになります。

ライナの種類

1㎡あたりの重量(目安)

D4

120g

C5

160g

K5

170~180g

K6

210g

K7

280g

◎メーカーによって異なります。

ダンボールの各部分の名称    箱の外側は表ライナー、箱の内側は裏ライナー、間の部分は中芯

中芯のグレードを下げる

ダンボールの内側の波状の部分を「中芯」と呼びます。中芯の材質は、「120g」「160g」「強化180g」といった種類があり、数字が大きくなるほど強度が増します。

中芯は、設計時点で最適なものを選択するのですが、無難に強度の高いものを選ぶ傾向がありますので、材質を下げることでコストも下げられる場合があります。

【例】「K5/強化180g/K5」を「K5/120g/K5」へ変更→100円の箱が88円程度になります。※ロットや配送条件などにより変動します。

段の種類と材質のグレードを見直す

重量物に用いられることの多いWF(Wフルート)とは、AFとBFを2枚貼り合わせたような材質のこと。厚さは約8mmです。AF=約5mm、BF=約3mm、EF=約1.5mm、ですから、かなりの厚みがあると言えます。

WFでできたダンボール箱のメリットは強度の高さですが、材質自体が厚くかさばるため、輸送費や保管費が割高になるデメリットもあります。輸送費や保管費のコストを下げるため、AFのライナや中芯の強度を上げることで、WFと同等の強度を持たせることも可能です。

例】「WF/K5/K5」を「AF/K6/強化200g/K6」へ変更→150円の箱が125円程度になります。※ロットや配送条件などにより変動します。

 


うんちく②:ダンボールの『段』の種類とは?

ダンボール中芯の波状部分を構成する『段』を『フルート』といい、「AF(Aフルート/A段)」「BF(Bフルート/B段)」「EF(Eフルート/E段)」のように表現されます。箱の大きさにより段の高さを選択します。それぞれの仕様は下の表を参照してください。

《AF》外装用としての利用頻度が高く、20kg程度の重量に耐えられる。お米を送る箱などでも使用されている。
《BF》宅配の60サイズ程度に最適。軽くて小さい商品の輸送に適している。
《CF》AFと同等の強度を持ちながら、シートが1㎜程薄い。在庫保管の省スペース化に役立つ。
《EF》《FF》《GF》主に商品の個装用として使用。軽くて小さい商品に向いている。
《WF》AFよりも強度が高く、特に大きくて重い商品(金属製の工具や部品など)で使用されている。

段の種類

厚さ

段の数/30cm

段の高さ

段繰率※

主な用途

A段(AF)

約5mm

34±2

4.76㎜

1.58

外装用

B段(BF)

約3mm

50±2

2.38㎜

1.38

外装用・内装用

C段(CF)

約4mm

42±2

3.57㎜

1.45

外装用

E段(EF)

約1.5mm

93±2

1.1~1.4㎜

1.27

個装用・内装用

F段(FF)

約1mm

約125

0.75㎜

1.22

個装用・内装用

G段(GF)

約0.9mm

約167

約0.5㎜

1.21

個装用・内装用

W段(WF)

約8mm

AFとBFの合計

AFとBFの合計

AFとBFから算出

外装用

◎メーカーにより異なります。※一定の長さのライナに対する、中芯原紙の使用率。表の数値は基準仕様の場合です。

 

ロットを増やして1枚当たりの単価を下げる

最小ロットを計算して無駄なく製造

 ダンボール箱は、材料となるダンボールシートを最初に作ります。ダンボールシートの最低ロット(m)と、作りたい箱のサイズで、箱の最低ロットを計算します。

【例1】
『ダンボールシートの最低ロット:幅1m/流れ350m』=幅1m、流れ1mのシートが350枚取れる
=『展開サイズ :幅1m/流れ1mのダンボール箱』の場合350枚(個)作れる=最低ロット

【例2】
『ダンボールシートの最低ロット:幅1m/流れ350m』=幅1m、流れ1mのシートが350枚取れる
=『展開サイズ :幅0.5m/流れ1mのダンボール箱』の場合700枚=最低ロット
◎このような場合のことを「2丁取り」などと呼びます。

作りたい枚数(個数)が最低ロット以下だったとしても、ダンボールシートの最低ロット分のコストはかかってしまいます。「この箱の場合、製造の都合で必要な最低ロットは何枚ですか?」と問い合わせることで無駄なく製造しましょう。


うんちく③:ダンボールの「幅」と「流れ」とは?

ダンボール会社では、サイズの計算で「幅」「流れ」という単位をよく使います。

「幅」は原紙の幅。「流れ」は段目の垂直方向の長さで、ダンボールシートが製造時に流れていく方向のことです。下の図でご確認ください。

複数の商品に対応できる兼用箱を作る

「ロットを増やす」方法の具体例として、兼用箱を作る方法があります。

同じ商品でもカラーバリエーションがある場合などに有効で、色の種類ごとにチェックボックスを作り、レ点などでマークを入れ、商品を区別します。色ごとに商品出荷量にバラツキがある場合、特に有効です。


うんちく④:ダンボールのライナや中芯の材質の選び方は?

ライナや中芯の選び方は、実績に応じて調整することが多いのが実態です。サイズ、重量、積み上げる段数などが分かっている場合は、強度安全率を計算しますが、湿気や保管状況など想定外のことも起こるため、実績のある材質をもとにするのが効率的と考えています。

仕様上は同じ条件でも、お客様ごとの事情を考慮し、ケースバイケースで材質を決めています。

◎クール対応の場合には…(材質例1)K5/強化180g/K5 (材質例2)K5/強化180g/ 撥水K6→箱内側に撥水性をプラス
◎かさばらせたくない場合には…(材質例1)BF (材質例2)強度が不安→BFで中芯を強化タイプにする

 

形状変更することでコストを下げる

『B式』ダンボール箱の場合は『A式』への変更を検討

ダンボール箱は、上下をクラフトテープで止める「A式」と呼ばれる形状が一番安く製造できます。底にもクラフトテープを貼る手間はかかりますが、印刷から製函、梱包まで、一つのラインでノンストップ加工できることが理由です。

それに対し「B式」と呼ばれる地獄底などの形状は、印刷したダンボールシートをオートンと呼ばれる機械で打ち抜き加工します。その分、加工のための製造時間や、抜型代やもかかるため割高になります。

「B式」は底を組みやすいメリットがありますが、加工費以外に抜型代もかかるため、これらの合計コストが「A式をクラフトテープで止める手間賃と箱代」より安い場合に選択するとよいでしょう。 

 

印刷面積を小さくして製版コストを下げる

ポイントは箱のサイズではなく『印刷する面積』

ダンボールに印刷をする時、印版(樹脂版)が必要です。この印版(樹脂版)は印刷面積が大きくなるほど価格が上がるため、最小限の印刷にとどめることで印版代(製版代)を下げることが可能です。

注意点は、印刷を施す箱の大きさに関係なく、印刷する面積によって印版代(製版代)が変わることです。

印刷面積が大きい=印版のサイズも大きい=コストアップ

 

配送方法を見直してトラックの積載効率を高める

手積み配送からパレット配送へ

ダンボール箱は、自由にサイズを決められ、ロットもバラバラなことが多いため、トラックの積載効率が悪くなってしまいがちです。また、運転手が、人力で荷積みや荷下ろしをすることが多い点も、コストアップの要因となっています。

その解決手段として、パレット単位で注文し、荷積みと荷下ろしをフォークリフトで行えるようにすることで、コスト削減が可能です。

※参考文献
◎『段ボールハンドブック』(全国段ボール工業組合連合会 2007年11月10日 発行)
◎五十嵐精一 著『改訂版 段ボール包装技術 実務編』(日報出版 2012年2月27日 発行)
◎レンゴー株式会社 編著『今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい 段ボールの本』(日刊工業新聞社 2021年4月5日 発行)

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